令和2年度(2021年度) 司法予備試験 刑法 答案

 

 

※注意

このブログは正しい答案、皆さんの参考になるような答案を投稿するものではなく、大した学力もないたただのロー受験生がどの程度の答案を作るのかを参考にしてもらうためのブログです。よって内容の正確性は全くないですし、どのように間違えたか、などの話をしています。

詳しくは最初の投稿へ⇒https://adc32104766.hatenablog.com/entry/2020/11/19/225344

 

答案の書き方で直した方がいいと思う点があれば指摘してください!

 

【令和2年予備試験刑法】11月19日、86分、答案用紙4枚目最後まで

(一番下に3回目に解いた再現答案を載せています、そちらの方がより正確です)

 

 時間と紙厳しすぎんか、に尽きた。って思ってたら余計なこと書いてたっぽいです。

 基本的に検索して出てくる参考答案から大きくずれることはなかったです。特に熱く書こうと意識したのは、①「偽造」該当性、②欺罔行為該当性ですね。私はあてはめと事実の評価意識しすぎていらんことまで書きすぎるタイプでして、今回は①だけで一枚の半分(偽造罪で1枚)、②だけで答案15行使いました(重要か、経済的に重要か、交付の判断の基礎となっている経済的に重要な事項を偽ったかでやったらながすぎた)。

 

 

 間違えたところは、①挙動によって欺罔したと書かなかったこと、②誤想防衛の成立を否定して36条2項の準用(誤想過剰防衛)と、あとなぜか③偽造罪と、行使罪詐欺罪を春日井にしたことですね。

 ①は完全にわすれてました。ああ、これが挙動による詐欺か、ってなりました

 ②は、行為の程度自体は防衛行為としての相当性を欠くものではないが、甲に重大な過失があったことから相当性を欠く、という風にして不成立としました。というのも、なぜか問題文読んだ時点で誤想過剰防衛かなっていう先入観にとらわれてしまって、そのほかの道を考えてなかったんですよね、過失あるから相当性欠くってなんやねん、ありえるんか?

 ③は普通にミス。

 上の①②と下の②のせいで多分紙が厳しくなったのかな。

 

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12月27日追記:三回目

第1、甲がBと本件居室の賃貸借契約を結んだ行為について

 詐欺罪(刑法(以下、法名省略)246条2項)が成立しないか。

(1)甲は一定の挙動が特定の意思又は事実の表明を包含すると構成できる挙動による「欺」罔行為(※以下めんどうなので「欺罔行為」とします。)をしたといえないか。

 甲はBと賃貸借契約を結ぶ際に本件条項の説明を受けており、Bが暴力団関係者と契約を結ぶ意思がないこと、および同関係の目的での活動に本件居室を用いさせる意思がないことを知っていた。しかし、甲は自身がX組組員であることを隠すため変更前の氏名名義の自動車運転免許証・預金口座の通帳を示し、賃貸借契約書に変更前の氏名を記入した。また、使用目的がY組組長乙の襲撃であるにもかかわらず、人材派遣業の事務所として用いるという虚偽の目的を告げている。この2点から甲がBに賃貸借契約締結の意思をもって

契約書をBに渡す行為は事故が本件条項に反するものでないという事実を表示する挙動にあたり、挙動による欺罔行為があるといえる。

(2)欺罔行為は交付の判断の基礎となる重要な事項を偽るものでなければならない。

 B所有のマンションがある某県下では暴力団排除の観点から本件条項の設置が奨励され、また賃貸人の資産価値の下落を防ぎたいという意向からも本件条項の設置が一般化されていた。そうすると、Bは契約の相手方たる甲が本件条項に反するということを知れば契約を結ばなかったであろうといえる。よって、本件条項に反するか否かに関する事実を偽る甲の欺罔行為は交付の判断の基礎となる重要な事項を偽る行為にあたる。(1)(2)より欺罔行為があるといえる。

(3)上記欺罔行為によりBは、甲が本件条項に反するものでないと誤信しているから錯誤に陥ったといえ、この錯誤に基づき賃貸借契約をむすぶという処分行為を行っている。この処分行為により甲は本件居室の居住の「利益」を得たといえる。

(4)甲は、自己が本件条項に反しないと挙動により偽ったことを認識・認容しているから故意(38条1項)がある。なお、上記の点で故意が認められるから、甲が家賃等必要な費用を支払う意思と資力があったことによっては故意は阻却されない。また、甲は不法領得の意思もある。

(5)以上から、甲はⒶ詐欺罪の罪責を負う。

第2、甲が本件居室の賃貸借契約書に変更前の氏名を記入した行為

1(1)この行為に有印私文書偽造罪(159条1項)が成立しないか。契約書は「権利…に関する文書」といえる。

(2)本罪の保護法益は文書に対する公共の信頼であるから、「偽造」とは名義人と作成者の人格の同一性を偽ることをいう。名義人は一般人が文書に誰の意思が化体されていると認識するかで判断するが、変更前・後の氏名はともに甲を示すに過ぎないから、名義人・作成者はともに「甲」であるとも思える。しかし、契約書は契約成立の手段であり、契約成立とともに権利関係が変動する文書であって、名義人と作成者の人格の同一性が強く要求される文書であることにかんがみれば、名義人はX組組員ではない「変更前の氏名の甲」である。他方、作成者は暴力団組員である「変更後の氏名の甲」である。よって、「偽造」したといえる。

(3)契約書は「変更前の氏名の甲」名義であるから「他人の…署名を使用」したといえる。

(4)甲は故意に加え、契約書の「行使の目的」もあるといえる。

()5

よって、甲の行為にⒷ有印私文書偽造罪が成立する。

2、また、甲は同契約書により本件居室の賃貸借契約を締結しているから「行使した」(161条1項)といえ、Ⓒ同行使罪も成立する。Ⓒ、Ⓑ、Ⓐは牽連犯(54条1項後段)となる。

第3、甲が丙の顔面を拳で殴打し、死亡させた行為について

1(1)傷害致死罪(205条)が成立しないか。甲は丙の顔面を拳で1回殴打するという暴行によって丙を転倒させ、急性硬膜下血腫の傷害を負わせているから「身体を傷害した」といえる。また、上記傷害が理由で丙は死亡しており、暴行と志望結果に因果関係があるから「よって…死亡させた」といえる。

(2)傷害致死罪は暴行罪の二重の結果的加重犯であるから、暴行の故意があれば足りるところ、甲には少なくとも暴行の故意がある。

(3)甲には正当防衛(36条1項)は成立しない。なぜなら、丙はスマートフォンを取り出したにすぎず実際には甲に暴行を加えようとした事実も意思もなく「急迫不正の侵害」がないからである。

(4)しかし、甲は丙による「急迫不正の侵害」があったと誤信しているから、誤想防衛の問題として解すべきである。

 故意責任の本質は反規範的態度に対する道義的非難にあり、規範に直面した時初めて責任非難できる。しかし故意者が違法性阻却事由が存在すると誤認した時は規範のty工面がなく故意責任を問うことができない。よって、豪壮防衛の問題は事実の錯誤として処理すべきであり、行為者の主観内で正当防衛が成立するなら故意を阻却すべきである。

 甲は丙による「急迫不正の侵害」を認識している。また、甲は丙による侵害から自己の身を守る意思があるから「防衛するため」といえる。

 「やむを得ずにした」とは、行為が一般人の視点から防衛行為として相当性がみとめられることをいう。この時にはたとえ発生した結果が過剰なものであっても「やむを得ずにした」といえる。

 甲丙はともに男性であるが、丙は甲より8歳若く、身長は15センチメートル高く、体重は25キログラム重いから、体力の面で丙が甲を相当上回っている。また、スタンガンは人を失神させるそれのある武器であるところ、甲はこれに対し素手で反撃している。そして反撃の態様も拳で1回殴打したにすぎない。よって甲の行為は自己防衛のための必要最小限度の行為といえ、防衛行為としての相当性があるから「やむを得ずにした」といえる。

 よって、甲の主観内で正当防衛が成立するから、甲は故意が阻却される。傷害致死罪は成立しない。

2、しかし、甲は丙の態度を注視すれば丙が取り出したものはスマートフォンであり、丙g直ちに暴行を加える意思がないことを容易に知りえたのだから、「過失」(210条)があるといえ、この「過失」によって丙を志望させているからⒹ過失致死罪の罪責を負う。

第4、甲が丙を足蹴りにした行為について

甲に傷害罪(204条)が成立しないか。なお、上記第3の行為と一体評価して罪責の税費を検討すべきとも思えるが、足蹴り行為は丙が再度の侵害をするおそれがないという認識の下で専ら怒りに基づきされていることから故意の連続性を欠き一体評価できない。

(1)甲は丙の腹部を3回足蹴りにするという暴行によって腹部打撲の傷害を負わせている。

(2)傷害罪は暴行罪の結果的加重犯であるところ、甲には暴行の故意がある。

(3)丙は「急迫不正の侵害」をしていないから、正当防衛は成立しない。

(4)また、甲は丙が失神していることを認識しているから再度の侵害の恐れがないことを認識しており、誤想防衛としての故意の阻却もない。

(5)よってⒺ傷害罪が成立する。ⒹとⒺは包括一罪となり、これとⒸは併合罪(45条)となる。

以上