令和2年度(2021年度) 司法予備試験 民法 感想

 

※注意

このブログは正しい答案、皆さんの参考になるような答案を投稿するものではなく、大した学力もないたただのロー受験生がどの程度の答案を作るのかを参考にしてもらうためのブログです。よって内容の正確性は全くないですし、どのように間違えたか、などの話をしています。

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答案の書き方で直した方がいいと思う点があれば指摘してください!

 

【R2予備民法】11月17日75分4枚(下の方に設問2の3回目の起案の解答を載せています(12月31日))

設問1

 最初事務管理かなって思ったけど、読んでいったら後見人のなんか代理みたいな感じなのかなって思って、後見人が追認拒絶した時っていう論点があったなとおもって論点に気づきました。論証は読んだことはあったけどさすがに覚えてなかったので、無権代理人の本人相続を引き合いに出しながら規範でっち上げました。結論としてはもっぱら本人の利益のためにした行為であって、法が後見人に代表権を与えた趣旨に合致するから、禁反言から追認拒絶はできないとして請求を認めましたが、よく考えたら禁反言で追認拒絶の可否を論じる以上相手方Cの保護が問題になるはずであって、無権代理行為がAのためになされたものであるかどうかとかは禁反言とはなんも関係ないなと思いました。論証しっかり覚えます。

 

設問2

 詐害行為取消と債権者代位(でさらに取消権の一身せい)を論じました。

 最初に複数の法的構成があることを述べて、それぞれがどうかっていうのを検討する方が問に整合するかなと思いました。

 それと問題文読み間違えて、貸金返還請求の履行気が到来していないものと勘違いしていました。

 詐害行為取消しのほうは、詐害行為該当性は肯定して、詐害意志できりました。詐害行為は、生活のためにする行為は詐害行為に当たらないみたいなのがあった気がして、本件も一応生活のためにした行為(甲への入居費の支払い)だとしたうえで、その時でもさすがに廉価すぎるのは詐害行為に当たるっていう規範をでっち上げて、肯定。

 債権者代位のほうは普通に認めました。そんなに難しい問題ではなかったのかな

 

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第2 設問2について

1、DはEに対して、①本件売買契約についてAがEに対して有する取消権および原状回復請求権を代位行使(423条1項)すること、②詐害行為取消訴訟を提起(423条1項)し、本件登記の抹消登記手続請求(424条の6第1項)をすることが考えられる。

2、①について

(1)ア、AはEと本件売買契約を締結し本件不動産を引き渡している(555条)が、契約締結に際しEは、本件土地の本来の価値は3000万円であると知りながら不当に安く買い受けるために虚偽の事実を述べAに本件不動産の価格は300万円を超えないものであると信じ込ませたから、売買契約の締結は「詐欺…による意思表示」(96条1項)によるといえ、取消権を有する。

 イ、また本来3000万円の価値を有すると知ればAおよび一般人は売買契約を締結しなかったであろうと考えられるから、Aは「取引上の社会通念に照らして重要」な錯誤に陥っている(95条1項本文)。そしてAとEの本件売買契約の交渉過程から、Aが本件不動産の価格は300万円であると信じたことはEに表示され契約の内容になっていたと考えらえるから、「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」(同項2号)がある場合であり、「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていた」(同条2項)といえる。高齢であるAが親族であるEに詐欺をされることはAの帰責性が小さく、「錯誤が表意者の重大な過失による」ともいえない(同条3項)。よって、Aは錯誤を理由とする取消権も有する。なお、アとイの取消権は競合する。

 ウ、取消権の行使により本件売買契約は遡及的に無効になる(121条)から、AはEに原状回復請求権を有する(121条の2第1項)。

(2)ア、DはAと消費貸借契約(587条)を結んだから500万円の返還請求権を有するといえ「債権者」(423条1項)である。

 弁済期は令和5年4月末日であるから「債権の期限は到来し」ている(同条2項)。

イ、Aは本件不動産以外にはめぼしい財産を有していない一方で、甲の入居費用の支払い債務や500万円の返還債務を負っているから無資力であり、「債権を保全するため必要がある」といえる(同条1項)。

 Aは「親族間で紛争を起こしたくない」といいEからの取り消しの要求に応じないから、いまだ取消権及び原状回復請求権を行使しているとは考えられない。

ウ、取消権は取消権者の財産のみに関する権利であり、その人格と直接的に結びつく権利ではないから「債務者の一身に専属する権利」(同項ただし書)ではなく、「強制執行により実現することのできないもの」(同条3項)でもない。原状回復請求権も同様である。

(3)以上から、代位行使の要件を満たすといえ、原状回復請求として本件登記抹消請求が可能であるから①の請求は認められる。

3、②について

(1)ア、Dは消費貸借契約に基づきAに500万円の返還請求ができるから「債権者」(424条1項)である。また、返還請求権は本件売買契約が締結されるよりも前の令和4年5月1日に結んだ消費貸借契約から生じているから、「債権」が「行為の前の原因に基づいて生じたもの」といえる(424条3項)。

イ、本件売買契約締結時及びDの本請求時両時点においてAは無資力ある。

 本件売買契約の締結が「債権者を害する…行為」(424条1項)に当たるかが問題になるが、本件売買契約による本件不動産の引き渡しは「相当の対価」を得てした「財産」の「処分」(424条の2)、「既存の債務についての担保の供与又は債務の消滅に関する行為」(424条の3)、「過大」な代物弁済(424条の4)ではないから、行為の詐害性と行為者の詐害意思の双方を考慮して判断する。

 本件不動産の本来の価格は3000万円であるにもかかわらず、Aは300万円という10分の1の価格で売却しているから、行為の詐害性は大きい。そうすると、行為者たるAは債権者を積極的に害する意思はなかったとしても害することについて認識は有していたと考えられるところ、詐害意思はその程度で足りる。よって本件不動産の売却は「債権者を害する…行為」といえる。

ウ、たしかに「受益者」(424条1項かっこ書)たるEは、特定の債権者Dを害するという認識は有していなかったとも思えるが、詐害行為取消は総債権者のための制度である(425条)から、債権者一般を害する認識があれば足りると解する。そうすると、Aの親族であるEは少なくともAが甲に入居しており生活の拠点を甲に移していたことは知っていたと考えられ、本件不動産を不当に安く買い受ければ債権者を害する恐れがあることは認識していたと考えられる。よって「受益者」が「債権者を害することを知らなかった」とはいえない(424条1項)。

エ、Dは訴訟を提起し、受益者Eに移転した本件不動産の本件登記につき抹消登記手続請求をすることができる(424条の6第1項)。

(2)以上から、Dの訴訟提起が可能であり、請求は認められる。

以上