神大ロー2021年(令和3年)度 憲法 再現答案 感想

※注意

このブログは皆さんの参考になるような答案を投稿するものではなく、中の中のロー受験生がどの程度の答案を作るのかを参考にしてもらうためのブログです。よって内容の正確性は全くないですし、どのように間違えたか、などの話をしています。

詳しくは最初の投稿へ⇒https://adc32104766.hatenablog.com/entry/2020/11/19/225344

 

答案の書き方で直した方がいいと思う点があれば指摘してください!

 

自己評価:〇 

追記:14点=3割未満でした。ゴミ答案の例だと思ってください。

 

感想

神大の入試は時間がタイトな点で難しさがあり、とくに憲法刑法においてその特徴が表れていると感じます。問題を見たときに刑法は(私が刑法が苦手であることも考慮して)相変わらず時間がかかりそう、一方で憲法は(本当にそうかはわかりませんが)南九州税理士会事件ままの問題と感じたことから、憲法を論証ペタッと貼るだけの完全に守る答案にして、時間を短縮する作戦で行こうと決めました。そのため、憲法は答案構成を合わせて35分弱くらいで、薄めの答案を書きました。

南九州税理士会事件は①「目的の範囲内」か?②範囲内だとしてもそのような協力義務を課すことは公序良俗違反ではないか、の2段で検討するものと考えています。この事案は違法違憲、合法どちらでも行けそうですが、時間短縮のため違憲にしました。

もともと南九州税理士会事件パターンの問題はあまり好きではなかったですが、京大の過去問が解けなかったときにやっとかんとまずいなと思って論証を理解しておいたので助かりました。論証はAGの論証集を覚えてペタッと貼っただけです。ペタッとが好きです。

 

再現答案 35分、答案用紙2枚目の半分まで

 

1、私は、A県弁護士会が本件決議を多数決で決定し、A県弁護士会の名で公表すること(以下、「本件公表」とする。)は、本件決議に反対する会員の思想良心の自由(憲法19条)を侵害し違憲であると考える。以下、その理由を述べる。

2、(1)前提として、法人たるA県弁護士会は「目的の範囲内」で自由に行動することができる(民法34条)ところ、本件公表がA県弁護士会の「目的の範囲内」にあるならば、本件決議に反対する会員に対しても本件公表に協力するよういわゆる協力義務を課すことができるから、本件公表は「目的の範囲内」の行為として19条に違反するとは言えないと解する。

(2)そこで、本件公表が「目的の範囲内」かどうかが問題となるが、これは①当該法人の目的、性質、②強制加入性の有無、③問題となる基本的人権の性質など諸事情を総合的に考慮して判断する。

 ①弁護士会は目的が「…弁護士及び弁護士法人の指導、連絡および監督に関する事務を行うこと」(弁護士法31条)と法律で定められており、またその設立も法律によって定められている。そうすると、「目的の範囲内」か否かはある程度厳格に考えなければならない。

 また、②弁護士又は弁護士会でなければ「報酬を得る目的で訴訟事件…その他一般の法律事件に関して…法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができ」(弁護士法72条)ず、弁護士になるには弁護士会に入会する必要があるところ、弁護士として活動する者は弁護士会から脱退すれば弁護士として活動することはできないという重大な不利益を被る。そうすると、実質的には強制加入性があるといえる。よって、このようなA県弁護士会には様々な思想を持つ人物が所属することが想定され、これに伴い会員に課すことができる協力義務の範囲も狭くなるというべきである。

 ①、②のことにかんがみても、A県弁護士会の会則には、総会の審議事項の一つとして「…行政に関する事項であって、基本的人権の擁護…のために必要な事項」が挙げられており、「総会に於ける議決は、出席会員の議決権の過半数を以て定める」とされているところ、A県知事たるBの行政上の判断である本件不支出決定がCに所属する芸術家の表現の自由という基本的人権が侵害している恐れがあるという場面において、これに対する声明を多数決で決定していることは「目的の範囲内」であるかとも思える。

 しかし、本件決議はA県知事選挙で当選した知事Bの政治的判断である本件不支出決定の是非について意見を述べるものであって、問題文における本件決議の①~③を全体的に見ればかかるBの知事としての資質につき意見を述べるものであるということができる。そうすると、③選挙で選出された知事につきその資質を評価することは、選挙における投票の自由と表裏をなすものであって、会員各自が自らの思想・良心に従い決定すべき事項である。よって、このような事項につき多数決原理によって本件決議を行い、A県弁護士会の名で本件公表を行うことは「目的の範囲内」ということはできないというべきである。

3、このような理由から本件公表は、A県弁護士会の会員の思想良心の自由を侵害するものといえ、憲法19条に違反するといえる。

以上