令和2年度(2021年度) 司法予備試験 刑法 答案

 

 

※注意

このブログは正しい答案、皆さんの参考になるような答案を投稿するものではなく、大した学力もないたただのロー受験生がどの程度の答案を作るのかを参考にしてもらうためのブログです。よって内容の正確性は全くないですし、どのように間違えたか、などの話をしています。

詳しくは最初の投稿へ⇒https://adc32104766.hatenablog.com/entry/2020/11/19/225344

 

答案の書き方で直した方がいいと思う点があれば指摘してください!

 

【令和2年予備試験刑法】11月19日、86分、答案用紙4枚目最後まで

(一番下に3回目に解いた再現答案を載せています、そちらの方がより正確です)

 

 時間と紙厳しすぎんか、に尽きた。って思ってたら余計なこと書いてたっぽいです。

 基本的に検索して出てくる参考答案から大きくずれることはなかったです。特に熱く書こうと意識したのは、①「偽造」該当性、②欺罔行為該当性ですね。私はあてはめと事実の評価意識しすぎていらんことまで書きすぎるタイプでして、今回は①だけで一枚の半分(偽造罪で1枚)、②だけで答案15行使いました(重要か、経済的に重要か、交付の判断の基礎となっている経済的に重要な事項を偽ったかでやったらながすぎた)。

 

 

 間違えたところは、①挙動によって欺罔したと書かなかったこと、②誤想防衛の成立を否定して36条2項の準用(誤想過剰防衛)と、あとなぜか③偽造罪と、行使罪詐欺罪を春日井にしたことですね。

 ①は完全にわすれてました。ああ、これが挙動による詐欺か、ってなりました

 ②は、行為の程度自体は防衛行為としての相当性を欠くものではないが、甲に重大な過失があったことから相当性を欠く、という風にして不成立としました。というのも、なぜか問題文読んだ時点で誤想過剰防衛かなっていう先入観にとらわれてしまって、そのほかの道を考えてなかったんですよね、過失あるから相当性欠くってなんやねん、ありえるんか?

 ③は普通にミス。

 上の①②と下の②のせいで多分紙が厳しくなったのかな。

 

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12月27日追記:三回目

第1、甲がBと本件居室の賃貸借契約を結んだ行為について

 詐欺罪(刑法(以下、法名省略)246条2項)が成立しないか。

(1)甲は一定の挙動が特定の意思又は事実の表明を包含すると構成できる挙動による「欺」罔行為(※以下めんどうなので「欺罔行為」とします。)をしたといえないか。

 甲はBと賃貸借契約を結ぶ際に本件条項の説明を受けており、Bが暴力団関係者と契約を結ぶ意思がないこと、および同関係の目的での活動に本件居室を用いさせる意思がないことを知っていた。しかし、甲は自身がX組組員であることを隠すため変更前の氏名名義の自動車運転免許証・預金口座の通帳を示し、賃貸借契約書に変更前の氏名を記入した。また、使用目的がY組組長乙の襲撃であるにもかかわらず、人材派遣業の事務所として用いるという虚偽の目的を告げている。この2点から甲がBに賃貸借契約締結の意思をもって

契約書をBに渡す行為は事故が本件条項に反するものでないという事実を表示する挙動にあたり、挙動による欺罔行為があるといえる。

(2)欺罔行為は交付の判断の基礎となる重要な事項を偽るものでなければならない。

 B所有のマンションがある某県下では暴力団排除の観点から本件条項の設置が奨励され、また賃貸人の資産価値の下落を防ぎたいという意向からも本件条項の設置が一般化されていた。そうすると、Bは契約の相手方たる甲が本件条項に反するということを知れば契約を結ばなかったであろうといえる。よって、本件条項に反するか否かに関する事実を偽る甲の欺罔行為は交付の判断の基礎となる重要な事項を偽る行為にあたる。(1)(2)より欺罔行為があるといえる。

(3)上記欺罔行為によりBは、甲が本件条項に反するものでないと誤信しているから錯誤に陥ったといえ、この錯誤に基づき賃貸借契約をむすぶという処分行為を行っている。この処分行為により甲は本件居室の居住の「利益」を得たといえる。

(4)甲は、自己が本件条項に反しないと挙動により偽ったことを認識・認容しているから故意(38条1項)がある。なお、上記の点で故意が認められるから、甲が家賃等必要な費用を支払う意思と資力があったことによっては故意は阻却されない。また、甲は不法領得の意思もある。

(5)以上から、甲はⒶ詐欺罪の罪責を負う。

第2、甲が本件居室の賃貸借契約書に変更前の氏名を記入した行為

1(1)この行為に有印私文書偽造罪(159条1項)が成立しないか。契約書は「権利…に関する文書」といえる。

(2)本罪の保護法益は文書に対する公共の信頼であるから、「偽造」とは名義人と作成者の人格の同一性を偽ることをいう。名義人は一般人が文書に誰の意思が化体されていると認識するかで判断するが、変更前・後の氏名はともに甲を示すに過ぎないから、名義人・作成者はともに「甲」であるとも思える。しかし、契約書は契約成立の手段であり、契約成立とともに権利関係が変動する文書であって、名義人と作成者の人格の同一性が強く要求される文書であることにかんがみれば、名義人はX組組員ではない「変更前の氏名の甲」である。他方、作成者は暴力団組員である「変更後の氏名の甲」である。よって、「偽造」したといえる。

(3)契約書は「変更前の氏名の甲」名義であるから「他人の…署名を使用」したといえる。

(4)甲は故意に加え、契約書の「行使の目的」もあるといえる。

()5

よって、甲の行為にⒷ有印私文書偽造罪が成立する。

2、また、甲は同契約書により本件居室の賃貸借契約を締結しているから「行使した」(161条1項)といえ、Ⓒ同行使罪も成立する。Ⓒ、Ⓑ、Ⓐは牽連犯(54条1項後段)となる。

第3、甲が丙の顔面を拳で殴打し、死亡させた行為について

1(1)傷害致死罪(205条)が成立しないか。甲は丙の顔面を拳で1回殴打するという暴行によって丙を転倒させ、急性硬膜下血腫の傷害を負わせているから「身体を傷害した」といえる。また、上記傷害が理由で丙は死亡しており、暴行と志望結果に因果関係があるから「よって…死亡させた」といえる。

(2)傷害致死罪は暴行罪の二重の結果的加重犯であるから、暴行の故意があれば足りるところ、甲には少なくとも暴行の故意がある。

(3)甲には正当防衛(36条1項)は成立しない。なぜなら、丙はスマートフォンを取り出したにすぎず実際には甲に暴行を加えようとした事実も意思もなく「急迫不正の侵害」がないからである。

(4)しかし、甲は丙による「急迫不正の侵害」があったと誤信しているから、誤想防衛の問題として解すべきである。

 故意責任の本質は反規範的態度に対する道義的非難にあり、規範に直面した時初めて責任非難できる。しかし故意者が違法性阻却事由が存在すると誤認した時は規範のty工面がなく故意責任を問うことができない。よって、豪壮防衛の問題は事実の錯誤として処理すべきであり、行為者の主観内で正当防衛が成立するなら故意を阻却すべきである。

 甲は丙による「急迫不正の侵害」を認識している。また、甲は丙による侵害から自己の身を守る意思があるから「防衛するため」といえる。

 「やむを得ずにした」とは、行為が一般人の視点から防衛行為として相当性がみとめられることをいう。この時にはたとえ発生した結果が過剰なものであっても「やむを得ずにした」といえる。

 甲丙はともに男性であるが、丙は甲より8歳若く、身長は15センチメートル高く、体重は25キログラム重いから、体力の面で丙が甲を相当上回っている。また、スタンガンは人を失神させるそれのある武器であるところ、甲はこれに対し素手で反撃している。そして反撃の態様も拳で1回殴打したにすぎない。よって甲の行為は自己防衛のための必要最小限度の行為といえ、防衛行為としての相当性があるから「やむを得ずにした」といえる。

 よって、甲の主観内で正当防衛が成立するから、甲は故意が阻却される。傷害致死罪は成立しない。

2、しかし、甲は丙の態度を注視すれば丙が取り出したものはスマートフォンであり、丙g直ちに暴行を加える意思がないことを容易に知りえたのだから、「過失」(210条)があるといえ、この「過失」によって丙を志望させているからⒹ過失致死罪の罪責を負う。

第4、甲が丙を足蹴りにした行為について

甲に傷害罪(204条)が成立しないか。なお、上記第3の行為と一体評価して罪責の税費を検討すべきとも思えるが、足蹴り行為は丙が再度の侵害をするおそれがないという認識の下で専ら怒りに基づきされていることから故意の連続性を欠き一体評価できない。

(1)甲は丙の腹部を3回足蹴りにするという暴行によって腹部打撲の傷害を負わせている。

(2)傷害罪は暴行罪の結果的加重犯であるところ、甲には暴行の故意がある。

(3)丙は「急迫不正の侵害」をしていないから、正当防衛は成立しない。

(4)また、甲は丙が失神していることを認識しているから再度の侵害の恐れがないことを認識しており、誤想防衛としての故意の阻却もない。

(5)よってⒺ傷害罪が成立する。ⒹとⒺは包括一罪となり、これとⒸは併合罪(45条)となる。

以上

 

 

 

平成27年度(2015) 司法予備試験 刑事訴訟法 感想

 

 

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このブログは正しい答案、皆さんの参考になるような答案を投稿するものではなく、大した学力もないたただのロー受験生がどの程度の答案を作るのかを参考にしてもらうためのブログです。よって内容の正確性は全くないですし、どのように間違えたか、などの話をしています。

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答案の書き方で直した方がいいと思う点があれば指摘してください!

 

平成27年予備試験刑事訴訟法】11月19日 72分 4枚目17行

そんなに難しくなかったのかなと思う

 設問1は写真撮影が許されるか。答案の構成は問題提起(写真撮影が強制の処分に当たるんじゃ?あたるなら2つの制約に服し、これに反すれば違法)⇒強制処分の定義⇒該当性⇒肯定⇒例外(令状の効力による必要最小限度の有形力行使として許される場合)の列挙⇒検討って感じ

 例外の列挙のとこで、実質的に差し押さえに当たる場合を挙げて、②のなお書き、③で触れました。でも参考答案とかでは触れてなかったからよくないのかな?

 ①⇒例外OK、②例外OK(なお書きで差し押さえに当たるとしてもOK)、③原則検証令状かいて違法、例外のときはいいけど当たらない、差し押さえといえれば令状の問題はクリアするけど、被疑事実関連性欠く⇒違法、としました。③がどうなのでしょう

 設問2はどの伝聞例外に当たるのかがいまいちわからなかったです。3211項3号らしいですが、3231号にしてしまいました。捜索差し押さえ調書というらしいですね。東京高裁の裁判例が参考になります。

 書き方がいまいちでした。実況見分調書のように全体の能力、説明部分の能力、写真部分の能力に分けて検討しましたが、参考答案ではそもそも説明部分と写真しか検討していないものもあり、どういうことなのかって感じ。

 僕は全体は323(正しくは3211項3号のよう)、写真は非供述、説明は独立するものではないとしました

 写真の証拠能力を検討するときはしっかり自然的関連瑛の検討も加えたほうがいいのかなあと思いました。次回から意識します。

 

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令和元年度(2020年度)司法予備試験 民事訴訟法 感想

 

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答案の書き方で直した方がいいと思う点があれば指摘してください!

 

【令和元年予備試験民事訴訟法】

11月18日75分3枚

設問1

 死者が当事者になっている場合の問題。

 いつも当事者系の問題が来たらまずは当事者はだれかを確定する!と意識していたつもりだったけど、今回は寝ぼけながら解いてたからか忘れてしまって、そもそも何の問題なのか全く分からなかった。とりあえず、Yの主張が訴えが不適法であるってものなので、なにかしら不適法になるのだろうと思って、必要的共同訴訟該当性を検討した。そのあとどう修正するか、が問の部分で、おそらく正解筋は124条の類推適用(潜在的な訴訟継続があるってやつ)っぽいですね。僕はわからなかったので、相続してて当事者の地位があるから訴訟参加(52)できて瑕疵が治癒するとか書いときました

 まえから民事訴訟法は苦手だなって思ってたんですけど、おそらく単純に知識が足りてないのかなと思います。今回の潜在的な云々とか典型論点の一つっぽいのに知らなかったですし

 

設問2

 こっちもね、典型論点の一つっぽいんですけど知らなかったんですよね。でも何にも書かないわけにはいかないので頑張りました。

 とりあえず、信義則と争点効はなしで、じゃあ反射効もなしかーって思って、Xの立場からってある以上何とかして遮断を認める必要があるから、115条のどれかにねじ込むのかなと考えました。

 わからないときはとにかく原則⇒例外(修正)の形を作ることを意識しているので(というかバカなのでほとんどわかんないんですけど)、まず既判力の原則から、普通には及ばない(主観的範囲)ことを認定しました。

 そのあとは既判力の趣旨(手続保障の充足、自己責任、紛争の不当な蒸し返しの防止)から、規範をでっちあげです。相手方が、前訴の当事者と実質的に同視できて、手続保障が充足されていて、紛争の不当な蒸し返しといえるときは115条1項1号の「当事者」にあたる、としときました。

 規範でっち上げなのであてはめもしっかり目で、Zが独立の利益ないこと、などなど、挙げて認めました。あとから論証集見たら割と惜しくてなんだかうれしかったです。

 あと答案は物権的請求で訴訟物同じって書いてますけど、物権的請求は妨害者が異なれば訴訟物も別個となるはずなので同一ではないですね、めんどくなってテキトーにかきました

 

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令和2年度(2021年度) 司法予備試験 民法 感想

 

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【R2予備民法】11月17日75分4枚(下の方に設問2の3回目の起案の解答を載せています(12月31日))

設問1

 最初事務管理かなって思ったけど、読んでいったら後見人のなんか代理みたいな感じなのかなって思って、後見人が追認拒絶した時っていう論点があったなとおもって論点に気づきました。論証は読んだことはあったけどさすがに覚えてなかったので、無権代理人の本人相続を引き合いに出しながら規範でっち上げました。結論としてはもっぱら本人の利益のためにした行為であって、法が後見人に代表権を与えた趣旨に合致するから、禁反言から追認拒絶はできないとして請求を認めましたが、よく考えたら禁反言で追認拒絶の可否を論じる以上相手方Cの保護が問題になるはずであって、無権代理行為がAのためになされたものであるかどうかとかは禁反言とはなんも関係ないなと思いました。論証しっかり覚えます。

 

設問2

 詐害行為取消と債権者代位(でさらに取消権の一身せい)を論じました。

 最初に複数の法的構成があることを述べて、それぞれがどうかっていうのを検討する方が問に整合するかなと思いました。

 それと問題文読み間違えて、貸金返還請求の履行気が到来していないものと勘違いしていました。

 詐害行為取消しのほうは、詐害行為該当性は肯定して、詐害意志できりました。詐害行為は、生活のためにする行為は詐害行為に当たらないみたいなのがあった気がして、本件も一応生活のためにした行為(甲への入居費の支払い)だとしたうえで、その時でもさすがに廉価すぎるのは詐害行為に当たるっていう規範をでっち上げて、肯定。

 債権者代位のほうは普通に認めました。そんなに難しい問題ではなかったのかな

 

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第2 設問2について

1、DはEに対して、①本件売買契約についてAがEに対して有する取消権および原状回復請求権を代位行使(423条1項)すること、②詐害行為取消訴訟を提起(423条1項)し、本件登記の抹消登記手続請求(424条の6第1項)をすることが考えられる。

2、①について

(1)ア、AはEと本件売買契約を締結し本件不動産を引き渡している(555条)が、契約締結に際しEは、本件土地の本来の価値は3000万円であると知りながら不当に安く買い受けるために虚偽の事実を述べAに本件不動産の価格は300万円を超えないものであると信じ込ませたから、売買契約の締結は「詐欺…による意思表示」(96条1項)によるといえ、取消権を有する。

 イ、また本来3000万円の価値を有すると知ればAおよび一般人は売買契約を締結しなかったであろうと考えられるから、Aは「取引上の社会通念に照らして重要」な錯誤に陥っている(95条1項本文)。そしてAとEの本件売買契約の交渉過程から、Aが本件不動産の価格は300万円であると信じたことはEに表示され契約の内容になっていたと考えらえるから、「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」(同項2号)がある場合であり、「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていた」(同条2項)といえる。高齢であるAが親族であるEに詐欺をされることはAの帰責性が小さく、「錯誤が表意者の重大な過失による」ともいえない(同条3項)。よって、Aは錯誤を理由とする取消権も有する。なお、アとイの取消権は競合する。

 ウ、取消権の行使により本件売買契約は遡及的に無効になる(121条)から、AはEに原状回復請求権を有する(121条の2第1項)。

(2)ア、DはAと消費貸借契約(587条)を結んだから500万円の返還請求権を有するといえ「債権者」(423条1項)である。

 弁済期は令和5年4月末日であるから「債権の期限は到来し」ている(同条2項)。

イ、Aは本件不動産以外にはめぼしい財産を有していない一方で、甲の入居費用の支払い債務や500万円の返還債務を負っているから無資力であり、「債権を保全するため必要がある」といえる(同条1項)。

 Aは「親族間で紛争を起こしたくない」といいEからの取り消しの要求に応じないから、いまだ取消権及び原状回復請求権を行使しているとは考えられない。

ウ、取消権は取消権者の財産のみに関する権利であり、その人格と直接的に結びつく権利ではないから「債務者の一身に専属する権利」(同項ただし書)ではなく、「強制執行により実現することのできないもの」(同条3項)でもない。原状回復請求権も同様である。

(3)以上から、代位行使の要件を満たすといえ、原状回復請求として本件登記抹消請求が可能であるから①の請求は認められる。

3、②について

(1)ア、Dは消費貸借契約に基づきAに500万円の返還請求ができるから「債権者」(424条1項)である。また、返還請求権は本件売買契約が締結されるよりも前の令和4年5月1日に結んだ消費貸借契約から生じているから、「債権」が「行為の前の原因に基づいて生じたもの」といえる(424条3項)。

イ、本件売買契約締結時及びDの本請求時両時点においてAは無資力ある。

 本件売買契約の締結が「債権者を害する…行為」(424条1項)に当たるかが問題になるが、本件売買契約による本件不動産の引き渡しは「相当の対価」を得てした「財産」の「処分」(424条の2)、「既存の債務についての担保の供与又は債務の消滅に関する行為」(424条の3)、「過大」な代物弁済(424条の4)ではないから、行為の詐害性と行為者の詐害意思の双方を考慮して判断する。

 本件不動産の本来の価格は3000万円であるにもかかわらず、Aは300万円という10分の1の価格で売却しているから、行為の詐害性は大きい。そうすると、行為者たるAは債権者を積極的に害する意思はなかったとしても害することについて認識は有していたと考えられるところ、詐害意思はその程度で足りる。よって本件不動産の売却は「債権者を害する…行為」といえる。

ウ、たしかに「受益者」(424条1項かっこ書)たるEは、特定の債権者Dを害するという認識は有していなかったとも思えるが、詐害行為取消は総債権者のための制度である(425条)から、債権者一般を害する認識があれば足りると解する。そうすると、Aの親族であるEは少なくともAが甲に入居しており生活の拠点を甲に移していたことは知っていたと考えられ、本件不動産を不当に安く買い受ければ債権者を害する恐れがあることは認識していたと考えられる。よって「受益者」が「債権者を害することを知らなかった」とはいえない(424条1項)。

エ、Dは訴訟を提起し、受益者Eに移転した本件不動産の本件登記につき抹消登記手続請求をすることができる(424条の6第1項)。

(2)以上から、Dの訴訟提起が可能であり、請求は認められる。

以上

阪大ロー2021年(令和3年)度入試 感想

大阪大学 ロー入試 2021

 

 

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12月2日加筆:正規合格してました、これについては下記。開示したら点数載せます。

5月31日加筆:開示をしたので得点を追加しました。別記事参照(阪大ロー入試の成績開示をしました。 - 六法は鈍器 (hatenablog.com)

 

〈傾向と対策について〉

総論

 阪大は京大(と神大)に比べて典型論点からの出題が多いように思います。なので短文事例問題集などをつかって典型論点を完璧にしておくのがいいです。

 また、神大と同様に時間が厳しめです。かつ、典型論点からの出題になるので、途中答案を作ると大きく差がつけられてしま(うと思)います。過去問演習を通じて時間の感覚をつかんでおくことが望ましいです。

 阪大対策で特に有効と感じた学習は、重問、論証の暗記です。

 

各科目について(今年については下記)

民法→重問(典型論点ってこと)。書き負けは避けたい。

刑法→時間厳しい、難易度は普通?

憲法→重問、みんなとってきそう。わりと何でも出る?

商法→重問、時間厳しい

刑訴法→絶対語句説明からやるべき。わからなくても六法の索引で探せば耐える。

民訴法→個人的に一番ムズイ。自分が苦手ってのもある。

行政法→重問

 

 

〈過去問演習について〉

 過去問は10月以降に民刑憲法商法の起案を4年分ほど、そのほかについては頭の中で答案構成をしました。出題趣旨がついていないので、友達と解答を共有したり、自主ゼミで取り扱ったりして解きました。

 過去問はAとBがありますが、基本気にせずどちらも解いていました。Bは時々細かいところも聞かれますが、Aはそんなことないので解けなくても気にしなくていいと思います。

 

〈今年の各教科について〉

 

自己評価→実際の点数

民法:△→80

刑法:〇→45

憲法:◎→35

商法:〇→36

刑訴:△→20

民訴:×→36

行政:△ →38

 

 

・民事法① 

民法

阪大の民法は2つの大問があり、大問1は短文事例問題、第2問がちょっと長めの事例問題です。

第1問はおそらく判例があるもの?が出題されているようなので判例をしっかり押さえていたら大丈夫だと思います。というか、論証集の論証を抑えておけば大丈夫です。阪大の民法は基本論点なので、他の人に書き負けないようにしておくといいと思います。過去問演習もそれほど必要ないような気がします。

 

今年は時間余るかなと思っていましたが、1時間20分くらいかかりました

第1問

 設問1

  ほんとにわからんかった。論点じゃなくて条文操作の問題でした。

  何かいたらいいかわからなかったのでとにかく細かく条文を示すように意識しました。条文書いとけば点数来るでしょうということで笑

  ①は536条1項、同時履行の抗弁は412条の2第1項のせいで無理

  ②は536と533?

  ③はほんとにわからなかった、雇用の条文準用でまだ報酬請求権発生していないとか?

 設問2

  ①併せて事項を主張する場合(187条1項)なので、前主の「所有の意思」(162条)が問題になるとしたうえで、これの判断要素になる

  ②併せて主張しない場合。185条で自主占有に転換するか、ということが問題になるとしたうえで、それの判断要素になる

 

第2問

 設問1

 債権譲渡が「払渡し又は引渡し」にあたるか

  ⇒あたらない、登記の前後で決する。

 

 設問2

 敷金契約から当然に生じる結果である

  論証ペタッとしときました

 

・刑事法

 なんといっても時間が厳しい。二つで90分なのでそれぞれ45分で解くことが求められます。刑法も刑訴法も分量が同じくらいなので、常に急ぎながら解くことが必要です。刑事法は時間の感覚をつかむためにも過去問を解いておいた方がいいと思います。

刑訴法の第二問は解答用紙にマス目があります。わからない単語が来ても、貸与六法(ポケット六法)のうしろの索引?みたいなところから探せば大丈夫です。

 

〈刑法〉

 シャクティ

 何年か前に神大でもシャクティ出てて、たまたま自主ゼミで解いてたので耐えました

 時間は43分かかりました。刑法のあてはめを無駄に書きすぎてしまう人なんですけど、甲の実行行為性で1枚弱くらい書いてしまって、あ、間に合わんってなりました。バランス悪し。

 甲⇒不作為殺人、219の共同正犯

 乙⇒219の共同正犯(218認めたうえで死亡の結果まで帰責できるとする)

 

刑事訴訟法

 まず第2問からときましょう。配点間違えたのかな??ってくらい第2問に配点あるので、事例問題は後回しです

 

第2問は今年は①は論証集の原則事前、例外着手後をペタッと、②は条文、③は何かいたらいいのか微妙だったので伝聞法則の話を書いときました。

 

第1問は、停止行為の可否と広義の現行犯逮捕

 前者はしっかり当てはめる。僕は適法にしました。相手が諦めてることを強調しました

 後者は、時間がなくてもう10行くらいで片付けました。まず追及がいったん病んでるから現行犯逮捕否定、準現行犯の検討。時間なさすぎて論証は3行とか、あてはめも書いただけって感じです。

 周りの人を見たら特に刑事法は間に合ってる人が少なかったのでとにかく途中答案にしないことを意識しました、阪大は相対評価ではなく絶対評価なのかなって感じなので

 

 

・民事法②

民事訴訟法〉

 やたらと既判力が出てるようなイメージですが、どうなんでしょう。それほど変な問題が出てる気はしないですが、民訴が苦手なのでちょっとよくわかりません。

 今年について

 第1問は二重起訴該当性。問題文的に学説と判例の対比をかくのかな?ぼくは判例しか書けませんでした

 第2問、これがほんとに謎。Yが頭おかしすぎて何言ってんのかわからなかったです。おまけに答案書いてる途中にそれに気が付いて、もういいやって思って論理破綻したまま終わらせました。なので第2問については本当に0点でもおかしくないと思います。

 

〈商法〉

 例年、第1問は事例問題、第2問は条文説明です。

 第1問はメジャーなものがでるようです。

 第2問はときどきよくわからんのもでますが、条文の趣旨から考えれば何とかなります。

 

 今年は答案用紙が配られた時!?ってなりました。解答欄刻みすぎやろ、って。

 『一人で学ぶ会社法』にほとんど同じような問題がありました。例年はけっこう論点論点なんで、びっくりしました。

 ①⇒条文操作、160条の場合かどうかで309条の適用が変わること?

 ②⇒160条3項2項会社法施行規則29条、実質的な剰余金配当、株主平等原則への配慮

 ③⇒条文あげてあてはめるだけ、161~165はかいときました。1、2、4だけでいいと思います。

 

 第二問

 ①会社の本質

 ②論点(主観的意図が必要かどうか)と絡めて書く、のが正解なんでしょうけどぼくは気づかず433条2項全体の趣旨から書く感じにしちゃいました

 

 

・公法系

 行政法はあまり勉強していなので傾向もよくわからないです。少なくとも原告適格と処分性と、総論の主要な話をおさえておけば大丈夫じゃないでしょうか。

 憲法は「判例を踏まえて」論ぜよ、という問題です。似たような判例を挙げて、事例のズレ(特殊性)を指摘する感じでしょうか。事例や判例自体はそれほど細かいものが出るわけではないです。13条や14条に限らず、いろんな範囲から出るイメージですが、神大や京大と比べて判例べったりぎみなので、判例をしっかり押さえておけば難しく感じることはないと思います。

 

憲法

 最初の科目でした。張り切りすぎて答案4枚目まで行っちゃいました。時間は48分とか

 京都府学連を参考に書く感じですね。基準覚えてないと相対的に減点されそう。

 最初は集会の自由とか、デモ行進かと思いましたが、問題文に写真撮影について、と書いてあるのでそこはスルーですね。あてはめの中で考慮すべきでしょう。僕は答案構成までして、書く直前で気が付きました。

 13条の問題はどのローでも出やすいので苦手ならまずいです。13、14は書けるようにしときたいです。

 

行政法

 ①⇒行手7条。書き方に困って非常に時間使いました。行政法って難しい。

 ②⇒原告適格。時間なかったので大してあてはめもせず、「個別的に保護しようとする趣旨は見いだせない」として否定しときました。被侵害法益の特定、不特定多数者の具体的利益として保護までは肯定して、です。

 

 

〈結果が出ての感想〉

 正直、典型論点には自信があったので、阪大については特別不安を感じずに受験をすることができました。答案を書いていて途中で面倒になり雑な答案を書いてしまうこともありましたが、すこしくらいなら大丈夫ということでしょう。途中答案もなかったので受験後の精神状態もそれほど悪いものではなかったです。

 ステートメント(自己評価書)については本当に書くのが苦手で、ひらがなだらけの小学生の作文みたいなのを提出しました。提出の直前で誤字があることに気が付きましたが、そのまま提出しました。ステートメントは誤字には気を付けたほうがいいと後から聞いて絶望しました。